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ライカボディを選ぶ

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 ライカについては古今東西あまたの人がいろいろ書き散らして、いかに自分の選んだモデルが優れているか蘊蓄を傾けているから、結論がでるはずもない。十人十色、タデ食う虫も好きずき、お好みに合わせてお好きなものをどうぞということだ。絶対にこのモデルがいいなどと書いたら、それこそ四方八方から槍や鉄砲が飛んできて討ち死にするのは目に見えている。
 ただ、いくらか客観的な話はできると思うので少し書いておこうと思う。
 まず、第一の勘違いについて。ささやくようなシャッター音にうっとりとしてしまう、というような表現が氾濫しているようだが、ただ単純に機械が疲労しているだけのことである。あるライカ修理のマイスターのよれば、スプリングテンションを下げれば、いくらでもシャッター音は静かになり巻き上げも軽くできるそうで、裏を返せばスプリングの疲労しているモデルはみんなささやくようなシャッター音になるということだ。
 第二の勘違いは、軽い巻き上げ感。これもシャッター同様、疲労によるものも多い。25年ほど前に、ある医者が大事に所有していた M3 の最終モデルの新品、といっても御大は毎週週末に酒を飲みながら、覗いたり、撫で回したり、シャッターをきってみたりしていたモノだが、それを触らせてもらったことがある。シャッター音は確かに大きくはなかったが、チュンでもコトッでもなく、クシャンンという多少の残響音のあるしっかりとした音であったし、巻き上げも決して軽いものではなく、滑らかというよりはしっかりしたものであった。
 第三の勘違いは、ライカはオーバーホールをしてやればもとどおりにいつまでも使っていけるという点。この勘違いは勘違いとしてはまだましな方である。新品で購入して正しく使い正しくメインテナンスをすれば、ある意味では間違ってはいないからである。M2 や M5 そして SL についてはファインダーにバルサム切れがでているモノが多いのだが、もし割らずに運良くバラすのに成功し新しいバルサムで貼り合わせたとしても精度がでないものがほとんどのようであるし、M3 DS のバネの疲労が進んでしまった巻き上げユニットは修理がきかないから、SS にするしか方法がないようである。その他いろいろあるのだが、要は古いライカを購入してきて多少問題があったとしても、オーバーホールをしてやれば快調に使えるようになるというのは、まったくの幻想にすぎない。
 要するに、実際に人生の伴侶としていつでも持ち歩いて使っていけるものはそんなに多くはないということだ。趣味でぶらさげていて、たまに一枚か二枚写真も撮るというなら話は別だが、バルナックは論外であることはおわかりいただけるであろう。バルナックに関してはよっぽど稀な個体に出会わなければ、実用に充分な精度を維持できているとは考えられないからである。M 型なら、M4、M5 後期、M3 および M2 の後期型あたりまでがせいぜいといったところか。
 なお、お使いの方も多いからあまり書きたくはないが、ファインダーの逆光時のあまりの見えの悪さに堪忍袋の尾が切れた身としては、M6 はおすすめできない。しばらくの間、ビゾフレックス専用にして使っていたが、ビゾのレンズを Canon F-1 で使うようになってからは、結局売り飛ばしてしまった。現在の MP についてはかなり改善されており使用に耐える。M7 は電子制御なので論外、かつ使ったことがないのでわからない。先にも書いたが、自分で使ったことのあるもののことしか書けない。
 また、一眼レフに関しては、日本製一眼レフの水準を知る身としては長期にわたり愛用することは不可能だったことを告白しなければならない。SL および R6.2 を使用してみたが、どちらもどちらで手放してしまった。R のレンズの中には断腸の思いで処分したモノもあるのだが、写真機本体に愛用できるものが見つからなかった。

この記事について

この記事は著者が2007年2月13日に書いたものです。

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