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M型 自分の好み

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 それぞれのライカに愛好家がいて、いかにそのライカがすぐれているかを説くから、自分の機械を決めかねてしだいに個体が増殖するという方も多い。自分もこの記事は、慣例に従い、好き放題、勝手放題に書かせていただくので、槍やら鉄砲やらを飛ばさないでいただきたい。また、これをお読みになりライカが増殖したとしても是非ノークレーム、ノーリターンで!?
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 エンジニアリングプラスティックの進歩には目をみはるものがあり、最高級機種のカメラにふさわしい品質のものまで開発されている。だが我々愛好家にとって、その持つべき道具にプラスティックが多用されているのは気分のいいものではない。やはり、主要な部分が金属とガラスで組み立てられていると長く愛用したい気分になるのは自分だけではあるまい。
 そういった意味では、フィルム巻き上げレバーが無垢の金属のものの方が自分の好みではある。M4 のタイプも確かに使いやすかったので、あまり強く言い張るつもりはない。またそれぞれの好みとは思うが、ブライトフレームの採光窓についても M2、M4 の、外ギザ七条タイプは安物のプラモデルのパーツのように見えるので好きではない。ただし M2 は初期のモデルに内ギザ十三条のものがあるがこちらは秀逸である。ギザが細くなった M6 以下 MP まではあまり安っぽい感じはなくなった。M3 だけはフラットな曇りガラスが嵌め込まれている。
 ライカはその握りの部分に、皮革やグッタペルカ、別名バルカナイトが貼り込まれている。皮革なら貼り替えてもいいのだが、グッタペルカには悩まされる。熱で簡単に融け、柔らかくなるのでちょっとの欠けなら修理可能である。大きく欠けるともう部品としては在庫がないため、似たような質感のものを代わりに貼るしかない。グッタペルカ自体は耐久性にすぐれた良い材料である。ちなみに歯科医は現在でも歯の神経をとったあとにグッタペルカをつめているのをご存じだろうか。
 少数派なのは承知の上だが、自分の場合、M2、M3、M5 に現在の MP を加えたグループと、それ以外のグループにまず分かれてしまう。いったいどういう分け方なのか、首を傾げる方がほとんどであろう。操作性や人間工学が機械のデザインに重要な意味を持つのは充分理解している。だが自分はあの意味のない角度で傾いてついているフィルム巻き戻しクランクが、垂れた犬の耳のようで嫌いなのだ。家に 13匹もいるから、犬が嫌いなわけではない。生まれながらにして完璧なバランスの M に、改良と称してあとからつけたその部分が、ぶちこわし、カタストロフなのである。何ゆえに M4 のデザインが良いと言われるのか自分は理解に苦しむ。ライカが MP を発売して、やっと新品で買ってもいいと思えるモデルが出てきて、長年の溜飲がさがった思いである。
 また、精密機械には精密機械らしいたたずまいが必要だ。鉄道模型をいじったことがある方ならすぐにご理解いただけると思うのだが、大きくても小さくてもダメである。鉄道模型ならやはり16番ゲージあたりが一番精密感がある。使ってみると本当にいい機械なのだが、やはり自分にとって M5 は大きい。精密感が足りない。間のびしている。特に使用している際は機械の後ろ側ばかりを見ているから、ますますそう感じる。それに、露出計に不安のあること、ファインダーのバルサム切れが多く見られること、シャッターブレーキのドラムがウィークポイントであることなど、選択する際にかなり気を使うモデルである。
 そうなると自分の場合には M3 および M2 か MP しか残らない。ついでに、あの安っぽいプラスティック製パーツが嫌いなので、M2 の後期型 が落ちる。ところが、同じ M2 でも M2 の最初期型 はレーシングカーのようなたたずまいがどこか心の琴線に触れ、響くので困る。

 というわけで、現在所有するライカは、 M3 および M2 の最初期型 と MP であるが、M3 はあまり持ち出すことはない。実用に充分な精度を持ち内部もきちんとしている M2 の最初期型 を見つけてくるのに7、8年はかかった。ほとんど恋慕の情に近いから、本当におめでたくない話である。
 その昔作られたもので現在一般には銘機と呼ばれるものはいろいろなカテゴリーに存在する。ライカの M3 は間違いなく銘機であろう。釣りの世界でも楽器の世界でも時代を超える銘機と呼ぶにふさわしいモノが存在するのはご存知のとおりである。ただし、時代を超えて語り継がれ愛されるモノも、当時の人間がそう思っていたかというとそうでもない。すでに銘機として認知されているモノを掌中の珠として愛でるのも悪くはないと思うが、現在存在するモノのなかにあって時代を超え語り継がれていくモノを的確に見抜くためには相当の手練れにならないと無理である。まさに温故知新といったところであるが、本物を見抜いていくのはいつの時代にあってもむつかしいものだ。

 果たして、MP は時代を超えていくのだろうか。

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この記事は著者が2007年2月14日に書いたものです。

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