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ようこそ ライカ レンズ へ

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 当初は、長きにわたり愛用できるライカのレンズを見つけたくて始めただけのことだが、以後の道がこんなイバラの道になることをいったい誰が想像できたというのだろう。読者諸兄もこの記事を読み終わったアカツキには、きっと奈落の底につきおとされた気分になることはうけあいであるから、充分ご注意をされるよう。
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 さて、禁断の扉を開けよう。ディレッタントを自認する筆者の、ここからのレンズの記事こそが真骨頂である。なにを大袈裟な、とお思いのあなた、まずは上の写真を見ていただきたい。
 ご存知、Summilux 35mm F1.4 ASPH そろい踏みである。上の2本がチタン用、下がブラックのモデルである。このレンズが発売される前に、手磨きであるというふれこみの非球面レンズを組み込んだ 初代 Summilux 35mm F1.4 Aspherical がごく少数、生産されていたことも既にご存知のことと思う。なんでこんなモノがいっぺんに3本も一緒に写っているんだ、と思われる方もおいでのことであろう。人から借りてきて、枯れ木も山のにぎわいとばかりに、写真だけ撮って返してしまったわけではない。ある時期に、筆者が自腹を切って購入して所有していたものである。お断りしておくが、筆者は決してカネがあり余っている身分ではない。家内にバレないようにソッと告白しておくが、 Summilux 35mm F1.4 ASPH はあと都合3本、計6本を所有した。ただ、自分は不幸なことに色男でカネもチカラもないから、同時に6本を所有できなかったということである。それに、すべて売り飛ばしてカネに換えてしまったため、今は手元に一本も残っていない。
 なんで、6本なんだ、とお怒りのあなた、次の写真をごらんいただきたい。先にも書いたが、芸術的なセンスはほとんどないと自認しているので、"うっとりする描写" か否かで記事を書くつもりはない。筆者は自分で確認した、確実な事実しか書かないし書けない。能書きはさておき、この上下の2枚の写真をごらんになれば、ぜーんぜん、違うということはおわかりになるであろう。
 さて、奈落の底にご案内だ。まず、写真機は同じものであり三脚にしっかり固定して、レンズだけを慎重に入れ替えて撮影したものである。レンズの絞りもシャッタースピードも、ピントも同じに合わせてある。当然、レンズにはフィルターの類いはつけていない。裸眼である。まぁ、あまり厳密なことを言わなければ、レンズの個体以外の条件は同じであると思っていただいて構わないということだ。

 この上下の写真は、先ほどの Summilux 35mm F1.4 ASPH 3本のうちの2本の、絞り開放すなわち F1.4 の写真を並べたものである。。。。。

 工業製品に "あたりはずれ" の個体差はつきものであるし、ましてドイツはマイスターの国なので、徹底的に管理された日本製品に比べて製品誤差が多少甘くても不思議はない。でもこの写真の差は、はたして製品誤差なのか。そりゃ、片一方ができそこないだったんだろう、と考えるのも普通だが、だいたい出荷前にテストをしてカードまで添付されているのだから不思議なハナシだ。筆者はこの一組の写真だけを撮影したわけではなく、他に夜景も昼の写真も数多く撮影しているのだが、特にこの写真が適切だと思ったので掲載しているにすぎない。レンズ面が自分の呼気で曇っていたわけでもなく、夜景に関しては何度撮っても同じ結果であった。その一連の写真をよく観察してみると、ピントの合っているところの描写も、画面隅の描写もあまり有為差はないし、画面の右と左でピントや描写が違うというわけでもない。すなわちレンズの偏心ではなさそうである。それに、盛大にフレアの出ているレンズの方がすべて劣るのかというと、そうでもないから始末に負えない。
 以降、製造番号のロットを確認しながら別の3本を手に入れていろいろ撮影した挙げ句、やっとおぼろげながらわかったことといえば、どうもこのレンズには、2つの描写のモノがあるようだ、ということ。夜景で盛大にフレアの出ている個体で、昼間に写真を撮ると、ハイライトがごくわずか上品ににじんで 、評論家なら "立体感のあるウットリとする描写" ということになるのであろう。筆者は、どちらでも個人の趣味におまかせ、としか語るべき言葉を持たないのだが、ライカのレンズは同じモノでも製造のロットによっては、コーティングやら内部構造やらが微妙に変更されることがあるのは当たり前のことらしい。
 これから、いろいろなレンズのお話を書いていこうと思っているのだが、このレンズほどはっきりしている例は、筆者の知る限りでは他にないから、最初の奈落の例として使わせていただいたわけである。筆者のように明けても暮れてもレンズを取っ替え引っ替え、数えきれないほどのレンズを試してみなければ気がすまなくなるような、いわば犠牲者を少しでも減らすことができるなら、望外の喜びである。

 ただ、本当にライカの仕様変更で異なるのか、単に "できそこない" が多いのか、真実は霧の中である。。
 
 機会があればまた、調査を続行することはやぶさかではない、ということは家内には内緒にしておこう。。。

この記事について

この記事は著者が2009年1月 8日に書いたものです。

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